2-1.転職活動の事前準備と実際の進め方
転職活動をはじめるとき、素朴な疑問があったり、何から手をつければ良いのか?どんな準備をすれば良いのか?といろいろ悩みますよね?
そこでよくある質問から事前準備と実際の進め方をご案内します。
2-1-1.転職のよくある質問
Q1:転職は誰でもできる?(20代、30代、フリーター、第二新卒など)
→A1:求人に記載されている応募条件にマッチしていれば、応募・面接を受けて採用されれば転職できます。
転職(中途採用)は、新卒の就職活動とは異なります。
新卒の就職活動では、社会人経験のない学生が学校で学んだことやアルバイト、その他経験を踏まえたポテンシャル採用(潜在能力や可能性を期待した採用)です。
それに対して転職活動では、大手企業などは4年制大学卒の正社員として何かしらの職種経験(営業・事務・その他)があり、企業が求めるスキルや条件を満たした人を即戦力として中途採用することがほとんどです。
ただし業界や企業によっては、学歴にこだわりなかったり、未経験者やフリーター、第二新卒も採用している企業もあります。
求人をよく調べたうえで、自分の職務経験やスキル、その他PRできることを活かして積極的に複数応募してみましょう!
[注意点]
求人には年齢や性別による制限は例外を除き記載されていません。
雇用対策法や男女雇用機会均等法により、例外や適用除外に該当する場合を除いて、年齢や性別を限定した募集はできないようになっています。
ただし、「長期勤続によるキャリア形成のため◯歳まで」というような記載のある求人も一部あります(大体30歳までか35歳までが多いです)。
また求人には年齢制限の記載がなくても、企業側で「◯◯という理由で30歳位までの人を採用したい」という意向がある場合、書類選考で30歳以上は足切りをすることもあります(それでもスキルや経験のレベルが高い方は30歳以上でも書類選考を通過することもあります)。
[求人の傾向(30歳未満の経験者の場合)]
◉幅広い業界・職種の求人が多数あり選択肢が多い
ほとんどの求人が30歳未満で同業界・同職種で2〜3年以上の経験やスキルを持った経験者を中途採用する傾向があり、求人数も豊富で選択肢も多くなっています。
*面接は2〜3回(大手や有名企業などは3回以上の場合もあり)
[求人の傾向(30歳以上の経験者の場合)]
◉管理職や役職の求人が多い(応募・面接の難易度が高い)
30歳以上になると管理職や役職(チームリーダー、プロジェクトリーダー、課長、部長、事業部長など)の経験者を採用する傾向が強くなります。
*面接は2〜3回(大手や有名企業などは3回以上の場合もあり)
[求人の傾向(フリーター・第二新卒・未経験者)]
◉新興企業やベンチャー企業などの未経験者歓迎の求人がある
フリーターで正社員として働いたことがない人や第二新卒(一般的には新卒入社で3年未満の求職者)をできたばかりの会社やベンチャー企業が積極的に採用しています。
*面接は1〜2回が多い
Q2:転職活動していることがいまの会社にバレない?
→A2: ちょっとしたことで会社にバレる可能性があるので慎重に行動しましょう!
バレると周りの人の態度が変わり会社に居づらくなったり、嫌がらせや上司から辞めるように圧力がかかることもあり得るのでくれぐれも慎重に転職活動を行って下さい。
転職に関する情報は個人情報保護法で厳しく守られ、応募先人事にも守秘義務はあるので、応募先企業から情報が漏れるということは基本的にはありません。
ただし、一部企業や外資系企業現職への在籍確認をして転職活動がバレるということもあるようです。
私がキャリアアドバイザーをしていた頃、離職中のある求職者の方が応募した外資系企業が「あなたの仕事ぶりがどうだったか知りたいので離職した企業の元上司の名前と連絡先を教えて下さい」と面接で言われたというケースがありましたが、そのようことはかなり特殊だと思います。
会社にバレるのは社内で誰かに転職を考えていることを話してしまったり、業務中に転職関連の電話やメールをしていてバレるケースが多いので気をつけて下さい。
Q3:転職時期ってある?
→A3:一般的には3〜4月と9〜10月が転職ベストな時期だと言われています。
理由としては、年度などを区切りがかわるタイミング(年度はじめの4月、下期のはじまり10月)で、人事異動・組織改変・新規部署立ち上げなどによる増員や退職者の補填などがあり、4月や9月スタートの中途採用が高まるからです。もちろん年度の区切りに関係なく、中途採用をしている企業もあります。
3〜4月と9〜10月は求人数が増加するので、転職先の選択肢が広がりますが、転職希望者も増えるので競争も激しくなります。
上記以外だと求人数は減りますが、無理にその時期にあわせず自分のタイミングで転職活動するのもありです。
転職時期を自由に決められる方なら、3〜4月と9〜10月とそれ以外の月でそれぞれ求人を比べてどの時期に転職するか考えても良いかもしれません。
ただし、自分の現職の繁忙期に転職活動をすると面接の調整が難しかったり、引き継ぎが大変だったりするのでよく考えましょう。
Q4:履歴書・職務経歴書・面接でPRできることがない場合は?
→A4:携わった仕事で得たスキルや経験をポイントを絞って簡潔にPRしましょう!
PRできることがない時は、自分の業務内容を書き出したうえでどのような仕事や貢献ができるか、困難をどのように乗り越えたか、実績(具体的数字)などを応募する職種や企業が求めるスキル・経験にあわせてPRして下さい。
Q5:転職は3年働いてからの方が良い?
→A5:最低2年以上、できれば3年以上働いてから転職した方が有利です。
大手・中堅企業だと求人の応募条件に「△職の経験が◯年以上」と記載されていることが多く、それをクリアしていないと書類選考通過が難しくなります。
転職は、同業界・同職種の経験者を中途採用する傾向が高く、目安として「法人営業職の経験が3年以上」とか「事務職でエクセル関数を使用したデータ管理を2年以上」という求人が多いので、1つの会社で同じ仕事を2年以上(または3年以上)経験した方が転職に有利です。
Q6:未経験・フリーター・第二新卒でも転職できる?
→A6:若年層の未経験者を対象にした求人であれば転職可能です。
転職サイトでは、若年層の未経験者を対象にした求人が結構あります。
求人に「未経験歓迎」「未経験歓迎。接客経験あれば尚可」「業務未経験でもMicrosoft Officeの使用経験あれば可」などと記載がある求人であれば採用される可能性は高いです。
ただし、未経験歓迎の仕事は給料が安かったり、雇用条件があまり良くないこともありますので良く調べてから応募して下さい。
中には基本的なビジネススキル(接客経験、PC使用経験、その他業務関連経験など)を持っていれば企業側が育成レベルで採用し、その会社で業務経験を積み、個人的にスキルアップをはかれば給料や待遇もレベルアップしていくものもあるので、未経験の方はそのような求人を探して応募してみて下さい。
Q7:「働いた期間が短い」「転職回数が多い」と転職は難しい?
→A7:転職経験がない人に比べると転職難易度は高くなります。
日本では、転職回数が少なく働いた期間が長い方が採用されやすく、働いた期間が短く転職回数が多い方は転職は難しくはなります。
会社倒産や早期退職による転職であれば別ですが、1年未満で会社を辞め複数回転職しているとなると現実的にはかなり転職は難しくなります。
難しい中でも、応募書類の書き方(履歴書・職務経歴書など)やポジティブな転職理由や自己PR、面接対策を工夫することで道が開ける求人もありますので、積極的にいろいろな求人を探して応募してみて下さい!
[注意点]
職歴が短い・転職回数が多い場合の応募書類の書き方は、後述する【5.履歴書・職務経歴書の書き方(自己PR・志望動機など)】をご覧下さい。
Q8:転職は35歳までって本当?
→A8: 基本的には転職は35歳まで。35歳以上でも役職経験者で他の人より優れたスキルや経験があれば転職は可能です。
理由としては、会社のメンバー構成や給料、仕事の吸収力や成長性を考えると30歳位までの採用が多い傾向があります(35歳位までの会社もあります)。
一般的な社員(基本的な仕事・一番安い給料)を募集する求人が最も多く、30歳〜35歳を上限としている書類選考している企業が多く、30歳(または35歳以上)となると役職者待遇(チームリーダー、プロジェクトリーダー、課長、部長、事業部長など)の求人となり給料や仕事のレベルも高いため求人数は少なくなり、かつ競争も激しいため、転職は35歳までと言われていると思います。
[一般的企業の組織構成バランス(イメージ)]
・新卒(20代前半/給料:安)
・若手(〜20代/給料:中)
・中堅(30歳前後/給料:高)
・部長以上(30代〜/給料:かなり高)
※企業は自社の組織構成を踏まえて職務・年齢・給料に見合った経験者を採用
私の転職活動でも面接で「基本は30歳までしか採用しない」と言われたり、キャリアドバイザーをしていたときも企業側で書類選考の目安として基本は30歳まで(一部35歳まで)というルールを設けていることがありました。
もちろん35歳以上でも優れたスキルや経験を持っている人を積極採用している企業もありますので、35歳以上でも積極的に応募をしてみて下さい。
[年齢別の採用傾向(イメージ)]
◉20代前半〜30歳位まで
→未経験者採用&経験者採用(経験1〜3年未満)
◉20代中盤〜35歳位まで
→経験者採用(マネジメント経験2〜3年以上)
◉35歳〜(30歳〜)
→役職経験者採用(部門管理経験2〜3年以上)
2-1-2.事前準備と進め方
⑴ 転職活動のスケジュールを立てよう!
サイト登録から入社までの大まかなスケジュールを説明します。
転職活動開始から大体3ヶ月位で新しい会社に入社するイメージです。
[転職活動スケジュール(イメージ)]
◆6月1日:転職活動開始
◎職務経歴の整理
→箇条書きで書き出し/履歴書・職務経歴書作成準備
◎希望条件を明確にする
→業界、職種、勤務地、給料・待遇など
◆6月8日:転職系サイト登録
◎転職エージェント/転職サイトの登録
→基本情報、職歴、スキルなど
◎履歴書・職務経歴書作成
→サイト登録用/提出用
→同時に面接提出用の履歴書・職務経歴書も作成しておく
→サイトによっては登録した履歴書・職務経歴書がプリントアウトできる
◆6月15日:求人検索・応募
◎転職エージェントとの面談・求人紹介>応募
→登録して1週間前後で面談(経歴・希望条件などの確認と求人紹介)
◎転職サイトでの求人検索>応募
→基本情報や履歴書・職務経歴などを登録すればWebサイトから自己応募可能
◆6月22日:書類選考合否連絡(応募後1週間以内の連絡が多い)
◎転職エージェント(=AGT)の場合
→応募管理画面で合否確認(メール・電話連絡の場合も)
→合格の場合はAGTと面接日程調整(大体1週間以内に決まる)
→不合格だった場合は、大体AGTから追加の求人紹介がある
◎転職サイトの場合
→応募管理画面で合否確認
→合格の場合は応募管理画面内で面接日程調整連絡をする
◆6月29日:一次面接(面接2〜3回位あり)
◎転職AGTの場合
→一次面接(面接30〜60分位/書類提出なし)
→面接官は人事担当や所属予定部署担当など(1〜3名が多い)
→履歴書・職務経歴書の提出はないことが多い
→SPIや筆記テストなどを行う場合ある
◎転職サイトの場合
→一次面接(面接30〜60分位/書類提出あり)
→面接官は人事担当や所属予定部署担当など(1〜3名が多い)
→履歴書・職務経歴書の提出(紙)が必要
→一部企業でSPIや筆記テストなどを行う場合あり
◆7月6日:一次面接 合否連絡(面接後1週間以内の連絡が多い)
→管理画面で合否確認
→二次面接日程調整(面接官が役職なので調整に時間がかかる)
◆7月13日:二次面接
→面接官は所属予定部署の課長・部長など(1〜3名が多い)
◆7月20日:二次面接 合否連絡 (面接後1週間以内の連絡が多い)
→管理画面で合否確認
→3次面接日程調整(最終面接/面接官が社長で調整に時間がかかる)
◆7月27日:三次面接(最終面接)
→面接官は社長など(1〜3名が多い)
◆8月3日:三次面接 合否連絡(内定)
→転職AGTは合格の場合、内定条件確認後にAGTが会社と調整
→転職サイトは応募管理画面で合否連絡と内定条件提示がある
→内定条件には仕事内容・給料・待遇・入社日などが記載
→入社日は現職退職日と合わせて調整が必要なので注意
→退職日は通常退職1ヶ月前に通知が多い(社内規定をよく確認)
◆8月10日:内定承諾連絡
→企業に内定条件承諾して入社する旨を伝える(メール・電話など)
→現職退職手続き(引継ぎ、入社準備)
◆8月15日:転職先に入社
→入社日は内定承諾後1ヶ月以内に勤務開始が多い
→企業都合の入社日打診と自分の希望入社日を聞かれる場合がある
→急募の場合はよほどの無理がない限り企業要望に合わせた方が無難
→個人事情がある場合はある程度入社日を調整することは可能
⑵ 応募から入社までどれ位かかる?
サイトに登録して応募から入社までは大体3ヶ月位かかります。
大手や中堅企業は面接2〜3回以上で応募から入社まで3ヶ月位、未経験歓迎のベンチャーや新興企業は面接1〜2回で1〜2ヶ月位かかります。
現職や転職先の繁忙期と重なると面接日程調整や退職時の引継ぎも大変になることも多いので、余裕を持った転職スケジュールを組むようにしましょう。
⑶ 応募企業を選ぶポイント
応募したい仕事や希望条件が明確になっている方は、転職エージェントや転職サイトで条件に合致したものを探して積極的に応募して下さい。
やりたい仕事が見つからない・希望条件が漠然としている場合は、何をやりたいのか、どんな条件で転職したいかを箇条書きしたうえで、条件に優先順位をつけて合致した求人が見つかったら 希望の業界や職種でなくても積極的に複数応募してみて下さい。
そうすることで自分がやりたかった仕事や会社に出会う可能性が広がります。
[希望条件に優先順位をつけて複数応募する]
◉業界:旅行業界
→条件によっては旅行関連事業であれば業界問わず
◉職種:営業(企画系)
→企画の仕事であれば営業職以外でも可
◉勤務地:東京23区内
→23区外・横浜市・さいたま市も検討可
◉通勤時間:自宅から30〜60分
→引越しも検討可
◉給与・年収:現在年収と同等以上
→年収◯◯◯万円以上なら検討可
◉賞与:あり
→賞与なしでも検討可
◉転勤:なし
→東京近郊も検討可
◉休日:完全週休2日制
→土日休みなら検討可
◉年間休日:120日以上
→100日以上でも検討可
◉昇進・昇給:あり
→昇進・昇給なしでも検討可
◉残業:月20時間以内
→月40時間以内でも検討可
◉福利厚生:社会保険完備、交通費全額支給
→交通費一部支給でも検討可
◉その他の条件:部署移動が可能
◉NG:医療・建設業界/全国出張型営業/平日休み
第一希望条件を満たす求人があまりなかったら、条件を許容できる範囲まで広げ、最優先する5つの条件を満たしている求人には全て応募すると決めれば、応募可能な求人数が増え、思ってもいなかった企業で希望の仕事が見つかることもあります。
私も最初の転職では、第一希望条件以外は応募しないと決めていたため、なかなか合致する求人がなく、応募ペースが遅く、あまり手応えもなかったのですが、上記のように条件を細分化して優先順位を決めて、最低3つの条件を満たしていたら全て応募すると決めてからトントン拍子で転職活動が進んだ経験があります。
複数応募していくつか面接を受けていると自分の方向性が見えてきたり、条件が微妙だったりしたら転職AGTまたは自分の交渉すれば良い方向に行くこともあります。
食わず嫌いにならずに少しでも希望に近い求人があれば複数応募して、複数の内定から最適な転職先を選んで下さい。
⑷ 履歴書・職務経歴書を書くポイント
転職では履歴書と職務経歴書が必須となります。
履歴書・職務経歴書を作成する際は、書類選考する立場になってどうすればあなたの魅力が伝わるかを考えながら簡潔にわかりやすく書くようにしましょう。
特に職務経歴書は、あなたがどんな業務ができ、どのようなことで貢献できるかを数字や具体例を使って簡潔にわかりやすく書くようにこころがけて下さい。
また大げさに書いたり、虚偽の内容を書いたりすると面接で話す内容がチグハグになったり、入社後にトラブルになるので等身大の自分でポジティブな言葉で表現するようにして下さい。
[注意点]
履歴書・職務経歴書の具体的な書き方やポイントは、後述する【5.履歴書・職務経歴書の書き方(自己PR・志望動機など)】をご覧ください。
⑸ 面接のポイント
応募書類(履歴書・職務経歴書・自己PR・志望動機など)であなたスキルや貢献できることがうまく伝わり、企業側が会ってみたいと思ってくれれば、次は面接となります。
面接では、事前に求人票で企業概要や仕事内容、企業が求める人物をよく理解したうで、応募企業があなたに興味を持つような質問の受け答えや発言をするようにしましょう。
面接では一方的にしゃべることは避け、面接官と言葉のキャッチボールをするようにコミュニケーションを取りながら進めましょう。
また面接では、その会社に入社したいという気持ちと面接の機会をありがとうございますという感謝の念を持ってのぞみましょう。
⑹ 退職時の注意点
現職を退職して他の会社に転職したとしても、どこでどのように元の会社と関わることになるかわからないので、退職する際は就業規則をよく確認したうえで、退職のタイミングや引継ぎなども考慮して友好的に退職するようにしましょう。
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